自己資金ゼロで家は買える?手付金とは?仕組みとリスク回避のポイント

「頭金ゼロでも家が買える」と聞いて安心したものの、実際には契約時に必要な手付金や登記費用・仲介手数料などの諸費用がネックになる方は多いです。数百万円~の初期費用を用意できなければ契約が進められないのが現実です。そこで注目されるのが、オーバーローン(諸費用込みローン)。本記事では、「諸費用ゼロ・初期費用ゼロ」で購入できる仕組みと、利用時の注意点をわかりやすく解説します。

この記事の内容

手付金の基礎知識

頭金との違い

「頭金」と「手付金」は似て非なるものです。頭金はローン借入額を減らすために支払う自己資金で、物件価格の10〜20%程度を入れるケースが一般的です。
一方、手付金は売買契約の証拠金として契約時に現金で支払うお金で、万が一解約した場合の違約金的な役割も持ちます。
この違いを理解していないと「頭金ゼロ=現金ゼロで契約できる」と誤解してしまうので注意が必要です。

手付金の相場(5〜10%)

一般的に手付金は物件価格の5〜10%が目安です。3000万円の物件なら150万〜300万円程度になります。
中古住宅では売主との交渉で減額できることもあります。とはいえ完全にゼロで済むことはほぼなく、原則として手付金額の現金を準備する必要があります。

契約時に現金が必要な理由

住宅ローンは基本的に「決済時(引き渡し時)」に融資実行されるため、契約時の手付金には充当できません。売主としても契約の確実性を担保する意味で現金を求めます。
そのため、自己資金が全くない場合は契約自体が難しくなり、現金を用意するための工夫が不可欠です。

手付金の性質と注意点

住宅を購入する際に支払う「手付金」は、単なる前払い金ではなく、契約上重要な意味を持つお金です。一般的には売買契約を結ぶ際に買主が売主へ支払うもので、物件価格の5〜10%程度が相場となります。

手付金には大きく分けて以下のような性質があります。

① 証約手付(しょうやくてつけ)

もっとも一般的な手付金が「証約手付(しょうやくてつけ)」です。これは単なる前払い金ではなく、「この売買契約が確かに成立しました」という事実を示す証拠金としての役割を持ちます。つまり、売主と買主の双方が正式に合意に至ったことを確認する意味合いが強く、契約の信頼性を高める効果があります。日本の不動産売買契約のほとんどはこの証約手付として取り扱われており、売主にとっては「買主が本気で購入する意思を持っている」ことの裏付けとなり、買主にとっても「売主が契約を履行する義務を負った」という安心材料になります。

② 解約手付(かいやくてつけ)

「解約手付(かいやくてつけ)」とは、契約成立後でも一定の条件下で契約を解除できる性質を持った手付金です。具体的には、買主が自ら支払った手付金を放棄すれば契約を解除でき、逆に売主は受け取った手付金の2倍を買主に返還すれば契約を解除できる、という双方向の権利として機能します。これを「手付解除権」と呼び、契約後のやむを得ない事情による解約を可能にする仕組みです。ただし、実務上は契約後すぐに住宅ローンの手続きや引渡し準備が進むため、無制限に解約できるわけではありません。多くの場合、契約書に「引渡し前まで」や「一定期日まで」といった期限が明記されており、それを過ぎると手付解除はできず、通常の違約解除扱いとなって大きな損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、買主にとっては「最後のキャンセル手段」ではありますが、慎重な判断が必要です。

③ 違約手付(いやくてつけ)

「違約手付(いやくてつけ)」とは、契約成立後に買主または売主のどちらかが契約内容を守らなかった場合に、違約金として機能する性質を持った手付金です。たとえば買主が残代金を支払わず引渡しを受けなかった場合、支払った手付金は返還されずにそのまま売主に没収されます。逆に、売主が一方的に契約を破棄した場合には、受け取った手付金の2倍を買主に返還する義務を負います。つまり違約手付は、契約不履行が起きた際の最低限の損害賠償のような役割を果たし、売買契約の履行を促す抑止力となっています。ただし、実際に損害額が手付金を大きく上回る場合には、別途損害賠償請求をめぐって争いになることもあるため、手付金だけで全てが解決するわけではない点に注意が必要です。

現金がない人の解決策

手付金を減額してもらう交渉

売主や不動産会社に事情を説明し、手付金を相場より少なくしてもらう方法です。
交渉次第で柔軟に対応してもらえるケースがありますが、あまりにも少額だと「本当に買う意思があるのか」と疑われかねないため、現実的な範囲での交渉が大切です。

親族からの一時借入

多くの方が実際に利用しているのが、親や親族から一時的に借りる方法です。契約時に立て替えてもらい、決済時に住宅ローンが実行された後に返済します。贈与として受け取る場合は贈与税の非課税枠を利用できるケースもあるため、税制の確認をしておくと安心です。

不動産会社や金融機関の立替制度

一部の不動産会社や金融機関では、契約から決済までの短期間だけ「ブリッジローン」「つなぎ融資」として手付金や諸費用を立て替えてくれる制度があります。初期費用をすぐに用意できない場合には有効ですが、金利や手数料が発生するため条件をよく確認することが大切です。

オーバーローンとは?(諸費用ゼロ・初期費用ゼロで購入できる仕組み)

仕組みと利用条件

オーバーローンとは、住宅ローンを物件価格だけでなく諸費用や手付金相当分まで含めて借りる方法です。例えば3000万円の物件を購入する場合、登記費用や仲介手数料など200万円を上乗せして3200万円を借り入れるイメージです。
別名「諸費用込みローン」とも呼ばれ、自己資金ゼロ・初期費用ゼロで家を買える方法として注目されています。ただし誰でも利用できるわけではなく、金融機関の審査は通常より厳格になります。

諸費用ゼロ購入のメリット

  • 契約時にまとまった現金を用意せずに家が買える
  • 若年層や貯蓄が少ない世帯でも購入可能
  • 手元資金を教育費や生活費、緊急予備資金に回せる

このように「諸費用ゼロ・初期費用ゼロ」というメリットがあるため、早く持ち家を持ちたい人には強い選択肢となります。

利用する際のリスク(借入額増・審査厳格化)

オーバーローンは魅力的ですが、借入額が増えるため返済負担も重くなります。金融機関もリスクを見込んで審査を厳しく行うため、安定した収入や信用情報が求められます。また、売却時に物件価格が下がれば、ローン残債が売却額を上回る「オーバーローン状態」になる可能性も高く、将来的なリスクは軽視できません。

まとめ

「頭金ゼロ=完全に自己資金ゼロ」とは限りません。契約時の手付金や諸費用は原則として現金が必要ですが、どうしても用意できない場合には、

  • 手付金減額の交渉
  • 親族からの一時借入
  • つなぎ融資の活用
  • オーバーローン(諸費用込みローン)の利用

といった方法で対応できます。
ただし「諸費用ゼロ・初期費用ゼロで購入可能」とはいえ、借入額が増えれば返済リスクも大きくなるため、無理のない返済計画と緊急資金の確保が欠かせません。

👉 契約時の手付金や諸費用が用意できなくても、工夫やローンの仕組み次第で家を購入できる可能性があります。ただし、「頭金ゼロ・フルローン」で購入する場合のメリットやリスクを正しく理解することも大切です。詳しくは 頭金ゼロでも家は買える?フルローンで無理なくマイホームを購入する方法 をあわせてご確認ください。

迷ったらプロに相談してみませんか?

賃貸・購入・売却・管理など、不動産に関するお悩みは、人それぞれ状況や目的が異なります。
「これって誰に相談すればいいの?」と迷ったときこそ、ぜひ一度プロにご相談ください。

東京都内での物件購入や売却、賃貸のお部屋探し、賃貸管理に関することまで、幅広く対応しております。
地域に根ざした視点とこれまでの経験をもとに、お客様の立場に立って、本当に必要な情報や選択肢をご提案いたします。

小さなお悩みでも構いません。
誠心誠意、あなたの「これから」に寄り添いながら、一緒に最適な選択肢を探してまいります。
どうぞお気軽にお問い合わせください。

対応エリア

不動産購入:東京都
新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、世田谷区、目黒区、港区、千代田区、中央区、江東区、墨田区、台東区、文京区、荒川区、北区、板橋区、豊島区、練馬区、西東京市、武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市
不動産売却:東京都
新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、世田谷区、品川区、目黒区、港区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、葛飾区、足立区、荒川区、墨田区、台東区、文京区、荒川区、北区、板橋区、豊島区、練馬区、西東京市、武蔵野市、三鷹市、小平市、小金井市、府中市、調布市、狛江市、国分寺市、国立市
賃貸お部屋探し:東京都
新宿区、千代田区、文京区、豊島区、中野区、杉並区
賃貸管理:東京都
新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、世田谷区、品川区、目黒区、港区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、葛飾区、足立区、荒川区、墨田区、台東区、文京区、荒川区、北区、板橋区、豊島区、練馬区、西東京市、武蔵野市、三鷹市、小平市、小金井市、府中市、調布市、狛江市、国分寺市、国立市

※上記エリア以外のエリアは都度ご相談ください!

この記事を書いた人

不動産業務歴(2010年~)
趣味:キャンプ・ドライブ・将棋
出身地:東京都調布市
不動産売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理
所属:株式会社セレクトビジョン 東京三協信用金庫本店ビル
東京都新宿区高田馬場2-17-3

この記事の内容