ネットで賃貸物件を探すときに知っておきたい落とし穴と、後悔しないための契約の進め方

賃貸物件探しは、多くの人がインターネット検索から始まります。しかし、問い合わせたら「もう決まりました」と言われたり、掲載写真や間取りと実際の部屋が違ったり…そんな経験をした方も少なくないはずです。人気物件はスピード勝負で、条件の良い部屋ほど即日申込で埋まってしまうことも日常茶飯事。さらに、即入居可能な部屋と空き予定の部屋では契約開始までの期間や条件が異なり、思わぬ家賃の二重払いが発生する場合もあります。
本記事では、不動産業界での豊富な実務経験をもとに、ネット物件探しに潜む落とし穴・契約までのタイムライン・先行申込や先行契約の活用方法・チェックリスト付きの安全な契約の進め方まで、後悔しないための全ポイントを詳しく解説します。

この記事の内容

なぜネット掲載物件は「すでに決まっています」と言われるのか

情報更新のタイムラグ

賃貸市場では物件の動きが非常に早く、特に人気の高い物件は掲載から数時間〜1日以内に申込が入ることも珍しくありません。
不動産ポータルサイトや仲介会社の自社サイトは、担当者が手動で更新している場合が多く、最新情報に反映されるまでタイムラグが生じます。
その間に他の人から申込が入ってしまうと、問い合わせた時点で「すでに決まっています」となるわけです。

このタイムラグは、特に土日や夜間に顕著です。業務時間外に申込が入り、翌日まで更新されないケースもあるため、「見つけたらすぐ問い合わせ」が鉄則です。

集客目的の「おとり広告」

一部の業者は、成約済みの物件をあえて掲載し続け、問い合わせをきっかけに別の物件を紹介することがあります。これを業界では「おとり広告」と呼び、宅地建物取引業法で禁止されていますが、ゼロではありません。「似た条件の物件をご案内します」と言われた場合は、本当に該当物件が存在するのか、募集が継続しているのかを具体的に確認することが大切です。

写真や間取りが実際と違う理由

別部屋や過去募集時の写真を流用

同じマンションやアパートの間取りが似た別部屋や、過去の募集時に撮影した写真をそのまま掲載しているケースがあります。
この場合、建物自体は同じでも、床色やクロスのデザイン、設備の新しさなどが異なるため、内見時に「思っていた印象と違う」となることがあります。特に築年数が経っている物件では、経年劣化の具合も部屋ごとに大きく変わります。

リフォーム前後のギャップ

退去後にリフォーム予定の物件では、工事が完了する前から募集を開始するケースが多く、その際には同じ建物内の別部屋やモデルルームの写真が使われることがあります。
一見するときれいな室内に見えても、実際の部屋では壁紙や床材の色・デザインが異なったり、掲載写真で新しそうに見えた設備が、現物では古い型のままだったという事例も少なくありません。
特に築年数が経過している物件では、オーナーの判断で一部のみリフォームし、他は既存のまま残す場合もあります。
こうしたギャップは入居後の満足度に直結するため、契約前には必ず「この写真は実際の部屋ですか?」「どこまでリフォームされる予定ですか?」と確認しておくことが安心につながります。

即入居物件と空き予定物件の違い

即入居物件

即入居可能な物件はすでに退去済みで室内が空いているため、内見できるのが最大のメリットです。
しかし、申込から契約開始までの期間は短く、多くの場合は2週間程度で契約開始となります。
現在の住居の賃料と新居の賃料が重複しやすく、引越し費用も同時期にかかるため、経済的負担が大きくなることがあります。

空き予定物件

現入居者がまだ住んでおり、退去予定の物件です。退去後に原状回復工事を経て、通常2週間〜1か月後程度で入居可能となります。
この場合、契約開始日(入室が可能になる日で賃料が発生し始める日)が先になるため、賃料重複を避けやすいですが、退去後に内見できる時期が限られるため、スケジュール管理が重要です。

スピード勝負になる理由

物件の動きは1日単位

人気物件は募集開始当日に申し込みが入ることも多く、翌日の内見予約ではすでに遅い場合があります。特に駅近・築浅・家賃設定が相場より安い物件などは、募集情報が公開されてから数時間で埋まってしまうことも珍しくありません。たとえば、夜にネットで気になる物件を見つけて「明日案内をお願いします」と予約したとしても、その日の夜のうちに別の方から申込が入ってしまい、実際に見学できないまま募集が終了するケースは日常的に起こります。こうしたスピード感は都心部や人気エリアほど顕著で、タイミングを逃さないためには、見つけたらその場で空室状況を確認し、条件が合えば即日動ける準備をしておくことが重要です。

内見当日も申込が入る

実際に、内見の最中に別の不動産会社から申込が入ることも珍しくありません。賃貸物件は管理会社がほぼすべての仲介業者に情報を公開しており、同時に募集していることが多いためです。
そのため、あるお客様が内見している最中でも、別の仲介業者経由で別のお客様から申込が入り、ほぼ同時に申込が到着するケースもあります。こうした場合は完全な先着順で番手が決まることが多いため、ほんの数分の差で希望物件を逃してしまうこともあるのです。

特に人気の高い物件や条件の良い物件ほど、このような“競争状態”が発生しやすく、案内後に「一度考えます」と持ち帰っている間に他の人に取られてしまうことも少なくありません。そのため、内見後に即決できるだけの判断材料を事前に整理しておくことが、希望の物件を確保する大きなポイントになります。

無駄を減らす物件探しのコツ

事前の相談と内見同席の重要性

物件を契約する前に判断材料を揃えるためには、家にある家具や家電、これから購入予定の家具・家電の正確な寸法をあらかじめ測っておくことが大切です。
サイズが合わず配置できないといったトラブルを防げるだけでなく、間取り選びの際の参考にもなります。

また、家族や親に相談したいと考える人は多いですが、契約直前ではなく必ず事前に相談しておくことをおすすめします。例えば、本人は1階のお部屋で問題ないと思っていても、親から防犯面を理由に反対されることもあります。同棲を予定していても、親への相談を後回しにした結果、反対されて契約が白紙になるケースも実際にあります。
特に複数人で住む場合は、一人の判断だけで契約を進めるのではなく、可能であれば全員で内見に行くことが理想です。全員が現地で環境や間取りを確認し、その場で意見交換できれば、後から「聞いていなかった」「想像と違った」といったトラブルを大きく減らせます。

営業担当に条件を共有しておく

「家賃・間取り・立地・築年数・こだわり条件」など、自分が譲れない条件を事前に明確にして営業担当へ伝えておくことで、その日の最新の空室情報をもとに、条件に合った物件だけを効率的に提案してもらうことができます。希望条件があいまいなままだと、実際に内見してから「思っていたのと違う」となるケースが増え、時間や労力が無駄になってしまいます。反対に、条件が具体的であれば、担当者は空き予定物件や先行申込が可能な物件も含めて提案でき、内見や契約までの流れをスムーズに進めることができます。これにより、無駄な内見や日程調整を減らし、短期間で納得できる物件にたどり着ける確率が高まります。

その日の空室情報から動く

内見予約を入れた時点で募集が終了してしまうのを防ぐには、その日の時点で確実に空いている物件の中から候補を選び、そこから「内見するのか」「先行申込を入れるのか」「先行契約まで進めるのか」を判断していく方法が有効です。こうすることで、すでに埋まってしまった物件に時間を割く無駄を避けられ、現実的に契約できる可能性の高い物件だけを効率的に検討できます。また、この方法は特に人気物件や繁忙期に効果的で、スピード感を持って動けるため、他の申込者に先を越されるリスクを大幅に減らすことができます。

先行申込・先行契約を上手に使う

賃貸の先行申込とは

まだ内見前でも申込の順番を押さえるための制度です。人気物件ではこの制度を使わないとチャンスを逃す場合があります。キャンセルは可能ですが、安易に行うと仲介会社との信頼関係に影響するため注意が必要です。

賃貸の先行契約とは

内見できない段階で契約を進める方法です。新築や工事中の物件でよく使われ、リスクはありますが条件の良い物件を確保できる可能性が高まります。ただし、後悔しないためには契約条件や設備仕様を詳細に確認することが必須です。

オンライン内見の活用

遠方でも確認内見できる

最近では、スマホやパソコンを使ったオンライン内見が広く普及しており、遠方に住んでいる方や忙しくて現地に行く時間が取れない方でも、室内や周辺環境の様子をリアルタイムで確認できるようになっています。
営業担当者が現地から映像を配信し、カメラを動かしながら部屋の細部や眺望、周辺の様子を映してくれるため、まるでその場にいるような感覚で内見が可能です。

これにより、交通費や移動時間を節約できるのはもちろん、複数物件を効率的に比較検討できる点も大きな魅力です。さらに、事前にオンライン内見で候補を絞り込み、最終的に本命の物件だけ現地で確認するという使い方をすれば、限られた時間の中でもスムーズに契約まで進められます。

現地確認も推奨

オンライン内見は非常に便利な方法ですが、本来は可能な限り実際の目で物件を確認することをおすすめします。カメラ越しではどうしても伝わりにくい情報があり、例えば周辺道路の交通量による騒音や、近隣店舗・飲食店からの匂い、共有部分の清掃状態、建物全体の雰囲気や管理状況などは、現地に足を運ばなければわからないことが多いものです。また、カメラの画角や映し方によって部屋の広さや明るさが実際よりも良く見えてしまうこともあります。入居後に「想像と違った」と後悔しないためにも、可能であれば現地での最終確認を行い、自分の五感で周辺環境や建物の状態をチェックすることが大切です。

まとめ

ネット物件探しは非常に便利で、スマホやパソコンから24時間いつでも情報収集ができるという大きなメリットがあります。しかしその一方で、情報の更新にはタイムラグがあり、掲載時点では空室でも問い合わせた時にはすでに申し込みが入っていることが珍しくありません。
また、掲載写真や間取り図と実際の部屋の仕様が異なるケースもあり、床や壁の色、設備の状態など細かな部分でギャップが生じることがあります。さらに、人気の物件は募集開始からわずか数時間で埋まってしまうこともあり、物件探しは常にスピード勝負という現実があります。
こうしたリスクを減らすためには、信頼できる営業担当者との密な連携が欠かせません。条件をしっかり共有し、その日の最新情報をもとに効率的に内見や申込を進めることが重要です。また、状況に応じて先行申込や先行契約を上手に活用すれば、希望条件に合う物件を確保できる確率が高まります。加えて、オンライン内見や写真だけに頼らず、可能な限り現地での最終確認を行い、周辺環境や建物の管理状況まで含めて総合的に判断することが、後悔のない物件選びのための最も確実な方法です。

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この記事を書いた人

不動産業務歴(2010年~)
趣味:キャンプ・ドライブ・将棋
出身地:東京都調布市
不動産売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理
所属:株式会社セレクトビジョン 東京三協信用金庫本店ビル
東京都新宿区高田馬場2-17-3

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