不動産購入の持ち分割合|諸費用も含めた決め方と贈与リスク

不動産を夫婦や親子で購入する際に必ず決めなければならないのが「持ち分割合」です。登記簿謄本に記載されるこの割合は、単なる数字ではなく、売却益の配分・相続・離婚時の財産分与・税務上の贈与判定に直結する重要な要素です。
特に注意すべきは「諸費用」の扱いです。不動産購入は物件代金だけでなく、仲介手数料や登記費用などの諸費用が数百万円単位でかかります。これらを含めずに「物件価格だけ」で持ち分を決めると、実態と乖離し、税務署から「贈与」と認定されるリスクがあります。
本記事では、諸費用を含めた正しい持ち分割合の決め方を、切りの良い数字を用いた具体例でわかりやすく解説し、贈与税リスクや将来のトラブル回避のためのポイントを徹底的に紹介します。
持ち分割合とは?
不動産の所有権を数値化したもの
持ち分割合とは、ひとつの不動産について各共有者がどの程度の権利を持っているのかを数値で表したものです。例えば登記簿に「夫3/4、妻1/4」と記載されている場合、その不動産の所有権のうち75%は夫に、25%は妻に帰属するという意味になります。
この割合は単なる数字ではなく、売却益の配分や担保設定の権限、将来の相続や財産分与の際の取り扱いにまで直結するため、所有関係を明確にする上で極めて重要な役割を果たします。

登記簿に記載される公的な権利
持ち分割合は法務局に備え付けられる登記簿謄本に正式に記載されるため、所有権を証明する最も重要な根拠となります。この記録は、不動産を売却して代金を分配する際や金融機関で担保設定を行う際に必ず参照されるほか、将来的に相続が発生したときの承継割合や、離婚時の財産分与を話し合う際の基準としても用いられます。
したがって、購入時に設定した持ち分割合は長期にわたり法的効力を持ち続け、人生の大きな局面で大きな影響を及ぼすため、非常に重要な意味を持つのです。

持ち分割合の決め方【原則は出資割合】
頭金+住宅ローン+諸費用の合計で算出
不動産購入にかかる総費用は、
- 物件価格
- 頭金(自己資金)
- 諸費用(仲介手数料、登記費用、火災保険料など)
の合計です。持ち分割合は、各人が負担した総額に応じて計算するのが正しい方法です。
諸費用の内訳
主な諸費用項目
総額で物件価格の6〜10%程度がかかるのが一般的です。
- 登録免許税・司法書士報酬
- 不動産取得税
- 仲介手数料
- ローン事務手数料・保証料
- 火災保険料・地震保険料
- 固定資産税・都市計画税の清算金

持ち分割合の具体例
例1|夫が大部分を負担するケース
- 物件価格:4,500万円
- 諸費用:500万円
- 合計:5,000万円
夫:ローン2,000万円+頭金500万円+諸費用500万円=3,000万円
妻:ローン2,000万円=2,000万円
合計:5,000万円
→ 持ち分割合 = 夫3,000万円 : 妻2000万円
→ 夫60% : 妻40%(登記は3:2の整数比)
例2|夫婦でほぼ折半するケース
- 物件価格:3,600万円
- 諸費用:400万円
- 合計:4,000万円
夫:2,000万円(ローン+頭金+諸費用)
妻:2,000万円(ローン+頭金+諸費用)
→ 持ち分割合 = 50% : 50%
例3|親子で購入するケース
- 物件価格:4,500万円
- 諸費用:500万円
- 合計:5,000万円
親:ローン3,000万円+諸費用200万円=3,200万円
子:ローン1,500万円+諸費用300万円=1,800万円
→ 持ち分割合 = 親3,200万円 : 子1,800万円
→ 親64% : 子36%(登記は16:9など整数比)
持ち分割合を誤ると贈与とみなされるケース
出資と持ち分が一致しない場合
例えば、夫が物件代金と諸費用を含めた総額4,400万円をすべて負担したにもかかわらず、登記上の持ち分を夫婦で50:50とした場合、実際には妻は一切負担していないのに2,200万円分の権利を得たことになります。
この差額は税務署から「夫から妻への贈与」と判断される可能性が高く、贈与税の基礎控除は年間わずか110万円しか認められていないため、控除を超えた部分には高額な贈与税が課されてしまいます。
金額が数千万円規模となれば、課税額も数百万円以上になるケースが珍しくなく、せっかくのマイホーム購入が思わぬ税負担につながりかねません。そのため、実際の出資割合に基づいて正しく持ち分を登記することが、税務リスクを避けるうえで非常に重要です。
妻が頭金を負担したのに登記は夫100%
例えば、妻が頭金として500万円を負担しているにもかかわらず、登記を夫100%の単独名義にしてしまうと、形式上は妻が支払った500万円を夫に無償で渡したことになり、税務署からは「妻から夫への500万円の贈与」と判断されかねません。
本来であれば妻にもその出資額に応じた所有権が与えられるべきところを、登記に反映させなかったために贈与扱いとなり、基礎控除110万円を差し引いても390万円分が課税対象になってしまいます。
結果として数十万円単位の贈与税を負担する可能性もあるため、実際の出資割合を正確に持ち分として登記することが極めて重要です。
親が援助して子名義で登記した場合
親からの資金援助を子の持ち分に反映させないと、課税対象になります。ただし「住宅取得資金贈与の非課税制度」を利用すれば一定額までは非課税です。
持ち分割合を正しく決めるメリット
贈与税リスクを回避できる
実際に負担した頭金や住宅ローン、諸費用の金額に基づいて、きちんと実態どおりの持ち分割合を登記しておけば、後から税務署に「出資割合と登記の持ち分が違うのではないか」と疑われることがなくなり、不要な贈与認定を受けるリスクを大幅に回避できます。
さらに、万一税務調査が入った場合でも、出資の根拠を明確に示せるため、安心して不動産を所有し続けることができます。

離婚時の財産分与がスムーズ
不動産の購入時に、頭金や住宅ローン、諸費用といった実際の負担額に応じて持ち分割合を正しく登記しておけば、後から「自分の方が多く支払ったのに取り分が少ないのではないか」といった不満や不公平感が生まれにくくなります。その結果、将来的に離婚などで財産分与を行う場面でも、双方が納得しやすい明確な基準があるため、感情的な対立を避け、冷静かつ円滑に話し合いを進めることが可能になります。
こうした正確な登記は、夫婦間の信頼関係を守り、無用なトラブルや訴訟リスクを未然に防ぐためにも非常に大切です。
相続時に混乱しにくい
不動産の持ち分があらかじめ明確に登記されていれば、相続が発生した際にも「誰がどの程度の権利を持っているか」が一目でわかるため、遺産分割協議において基準がはっきりします。これにより、相続人同士で「実際はもっと出資していた」「公平ではないのではないか」といった意見の食い違いが生じにくく、話し合いがスムーズに進みやすくなります。特に不動産は現金のように分割しやすい財産ではないため、持ち分割合が不明確だと分配方法を巡って争いに発展するリスクが高まります。
逆に、出資額に基づいた持ち分がしっかりと記録されていれば、相続手続きが円滑に行え、家族間の無用なトラブルや感情的な対立を避けることができるのです。
チェックリスト|持ち分割合を決めるときに確認すべきこと
- 頭金の額を明確にしているか
- 住宅ローンの借入額を整理しているか
- 諸費用の分担を正確に把握しているか
- 合計出資額から持ち分を計算したか
- 登記簿に整数比で記載できるよう換算したか
- 贈与税の非課税制度を必要に応じて検討したか

まとめ
不動産購入時の持ち分割合は、「物件価格+諸費用」の合計額に対する各人の出資割合で決めるのが正しい方法です。物件価格だけで単純に計算したり、なんとなく50:50にしたりすると、税務上の贈与と認定されるリスクが生じます。さらに、離婚や相続など人生の大きな節目でトラブルの原因となる可能性もあります。
安心して不動産を所有し続けるためには、購入時に頭金・ローン・諸費用すべてを含めて正確に計算し、その割合を登記簿に反映させることが不可欠です。
不動産購入は一生に一度の大きな決断。後悔のないよう、諸費用も含めた正しい持ち分割合の設定を徹底しましょう。
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