路線価は実勢価格の何割?相続登記義務化・相続税申告・不動産売却まで完全解説

相続に直面したとき、多くのご家庭で課題となるのが「不動産」です。
相続税評価に使われる 路線価 と実際の取引で使われる 実勢価格 の差、2024年から義務化された 相続登記、相続税の 申告期限10か月、さらに相続した不動産を売却して現金化する際の選択肢まで――。
こうしたポイントを正しく理解しておかないと、相続人同士のトラブルや、思わぬ税負担、さらには不動産が「売れない」「共有名義で処分できない」といった問題に発展しかねません。
不動産は預貯金と違って分けにくいため、相続の現場では最も揉めやすい財産ともいわれています。
この記事では、不動産相続の流れと注意点を総合的に解説し、家族が円満に相続を迎えるために知っておきたい実務的な知識をお伝えします。

この記事の内容

路線価とは?実勢価格との違い

路線価とは

路線価とは、国税庁が毎年7月に公表する「相続税や贈与税を計算するための土地評価額」です。
道路ごとに1㎡あたりの価格が設定され、課税の基準となります。
実際には、全国の主要道路ごとに標準的な宅地を想定して価格が決められ、相続や贈与の場面ではこの路線価に敷地の形状・奥行き・角地補正などを加味して評価額を算出します。市場価格とは異なり、税務上の公平性を保つための基準値という位置づけです。

実勢価格との関係

  • 一般的に 路線価は実勢価格の70〜80%程度 が目安とされます。
  • ただし、東京都心や人気エリアでは価格上昇が激しく、実勢価格の半分程度しか反映されないケースも珍しくありません。
  • 地方や郊外では逆に差が小さく、80〜90%に近いこともあります。

👉 相続税計算に使うのはあくまで「路線価」ですが、売却する場合は「実勢価格」が基準になるため、この差を理解しておくことが重要です。
なお、実勢価格とは実際に市場で取引されている価格を指し、需要と供給、周辺の取引事例、景気動向などによって日々変動します。
買主と売主の合意で決まるリアルな値段であり、相続税評価額とは乖離することが多い点に注意が必要です。

相続登記の義務化

義務化の背景

これまで「相続登記」は任意であり、相続が発生しても名義変更をしないまま放置された土地が全国で増えて問題となっていました。登記がされないと所有者が不明となり、売却や担保設定、公共事業に支障が出る「所有者不明土地問題」が深刻化していたのです。
そのため、2024年4月からは 相続登記が義務化 され、以下のルールが適用されています。

義務化の内容

  • 相続が発生した日から 3年以内に登記申請 しなければならない。
  • 違反した場合は 過料(10万円以下) が科される可能性あり。

👉 放置しておくと売却も賃貸もできなくなるため、相続が発生したら早めに司法書士へ相談することが大切です。

相続登記に必要な書類

相続登記をする際に、登記所(法務局)へ提出が求められる主な書類は以下の通りです。

  • 被相続人の戸籍謄本一式(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺言書(ある場合)
  • 遺産分割協議書(遺言がない場合)
  • 固定資産評価証明書(土地・建物の評価用)

遺産分割協議書が必要なケース

  • 遺言書がない場合や、遺言に記載されていない不動産がある場合には、
    相続人全員で誰がその不動産を相続するか話し合い、協議書を作成 する必要があります。
  • 協議書には相続人全員の署名と実印押印が必要です。

遺言書があるケース

  • 公正証書遺言などがあれば、原則その内容に従って登記が可能です。
  • この場合、遺産分割協議書は不要です。

相続税の申告期限は10か月

相続税の申告・納税期限は 相続開始から10か月以内
この期限を過ぎると、加算税や延滞税のリスクがあるため注意が必要です。
特に相続税の計算には、不動産評価や遺産分割協議の成立、各種資料の収集など多くの手続きが伴うため、実務上10か月は意外と短く感じられます。
早めに税理士や専門家へ相談し、期限内に申告準備を整えることが円満な相続につながります。

申告に必要な準備

  • 不動産の評価(路線価ベース)
  • 預貯金や有価証券の残高証明
  • 債務・葬儀費用の把握
  • 遺産分割協議書の作成

👉 期限は思った以上に短いため、専門家に早めに依頼するのが安心です。

相続不動産を現金化する方法

相続した不動産を売却し、分割や納税資金にあてるケースは多くあります。特に相続人が複数いる場合、不動産は現金のように均等に分けられないため「売却して現金化し、その金額を分配する」という方法が有効です。

また、相続税は原則として現金一括納付が必要であり、不動産をそのまま相続しただけでは納税資金を確保できないケースも少なくありません。

さらに、空き家や賃貸物件をそのまま維持すると固定資産税や管理費が発生し、将来的な負担につながる可能性もあります。そのため「相続したら売却して清算する」という判断は合理的であり、実務上もよく行われる選択肢なのです。

選択肢① 仲介による売却

市場価格(実勢価格)で売れる可能性が高いのが仲介による売却の最大のメリットです。購入希望者を広く募り、相場に近い価格で売れるチャンスがあります。
ただし売却完了まで時間がかかる(3か月〜半年)ことが多く、買主探しの期間や住宅ローン審査、引き渡し準備などを考慮するとさらに長期化する場合もあります。相続税の納税資金が必要な場合や、相続人間で早急に清算したい場合にはタイミングに注意が必要です。

選択肢② 不動産業者による買取

早ければ数週間で現金化可能であり、スピード重視の方には大きな魅力があります。特に相続税の納税期限が迫っている場合や、相続人同士で早急に遺産を分けたい場合に適しています。
ただし仲介より価格は低くなる(市場価格の7〜8割程度が目安)点はデメリットで、将来的に高値で売れる可能性を捨てることにもなります。とはいえ、現金化までの不安や手間を減らせるため、相続税納付や遺産分割を急ぐ場合には非常に有効な方法といえます。

👉 スピードを優先するなら買取、金額を優先するなら仲介が適しています。

生前売却と相続税特例の関係

「生前に不動産を売って現金化しておいた方が楽では?」と考える方もいます。確かに相続発生後の遺産分割協議や不動産処分の手間を省けるというメリットはあります。
しかし注意点があります。売却してしまうと相続時に使えるはずの各種特例が受けられなくなる可能性があり、結果的に相続税の負担が増えることもあるのです。

特例が使えなくなる可能性

相続時に不動産を保有していれば、小規模宅地等の特例(最大80%減額) などの特例を活用できます。
一方、生前に売却して現金化すると、これらの特例が使えず、結果的に相続税が増える可能性があります。特に都市部の土地では、特例を使うかどうかで数百万円単位の差が生じることもあります。

👉 不動産を生前売却する場合は、必ず相続税対策のシミュレーションを行い、専門家に相談して判断することが大切です。

まとめ

  • 路線価は相続税評価に使う基準であり、実勢価格の7割~8割程度。
    ただし都心では半分程度しか反映されないこともある。
  • 相続登記は2024年から義務化。3年以内に登記しないと過料の可能性。
  • 相続税の申告・納税は10か月以内。期限を過ぎると延滞税リスクあり。
  • 不動産の現金化は「仲介売却」と「業者買取」があり、目的に応じて選ぶこと。
  • 生前売却すると相続税の特例が使えなくなる可能性があるため要注意。

💡 相続は「知っているかどうか」で大きく差がつきます。
不動産をどう扱うかによって、税額・遺産分割・家族の円満度合いが大きく変わるため、早めの情報収集と専門家相談が重要です。

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この記事を書いた人

不動産業務歴(2010年~)
趣味:キャンプ・ドライブ・将棋
出身地:東京都調布市
不動産売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理
所属:株式会社セレクトビジョン 東京三協信用金庫本店ビル
東京都新宿区高田馬場2-17-3

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